もしも多重債務に陥ってしまったら:キャッシング・クレジットカードの基礎知識

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もしも多重債務に陥ってしまったら

借金が返せない場合の借金整理方法

 返しても返しても借金が減らない。借金が返せるめどが立たない。

 借金苦を理由に、自己破産、果ては命まで絶ってしまうケースが実際に起こっています。しかし、借金が返せなくなっても、すぐに自己破産することはありません。ましてや命を絶つことなど言語道断です。返すのが苦しい、どうしても返せない、となった場合借金を法律に乗っ取って整理する方法はたくさんあります。自己破産はあくまで最後の最後の最終手段。

 自己破産を含め、それぞれの特徴を知ることにより、適切な整理方法がわかるはずです。
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任意整理(裁判所を通さず、弁護士等に依頼する)

 カンタンに言うと、「借金をまけてもらう」制度です。単純に、踏み倒したり、「まけて」という話ではなくて、合法的に「まけてもらう」ことができるのです。

 なぜかというと、「利息制限法」という法律で、借金の利息は、上限が決まっているからなんです。

 <利息>
 ・10万円未満・・・・・・・・20%
 ・10万円~100万円・・・・・18%
 ・100万円以上・・・・・・・ 15%
 (遅延損害金は、それぞれの1.46倍)

 銀行などのローン金利はだいたいこの範囲に収まっていますが、消費者金融などのキャッシング、ローンの金利は、だいたいこれよりも高い場合がほとんどでしょう。

 消費者金融などの貸金業者は、利息制限法より高い金利でもいいという事になっているので、30%に近い金利のローンも多くあります。ただし、「出資法」によりその上限は、29.2%と定められていますので、これを超えるものは違法です。

 この法律を武器に、「利息制限法」の利息よりも、借りた人が多く利息を払った場合は、利息制限法の金利で計算し直して、金額を減らす交渉ができるわけです。

 ここでおすすめしたいのが、弁護士に交渉を依頼することです。任意整理は、裁判所を通さない整理方法なので、基本的には、借りた人が業者に直接交渉しても、なかなかまとまりません。 専門家である弁護士さんに依頼したほうがスムーズに進みます。

 また、弁護士さんが介入することが決まると、「介入通知」を業者に提出します。すると、業者は、お金を借りた人のところへ直接借金の取りたてには行けなくなるのです。

 この時点では、借金の減額が保証されたわけでもなんでもないのですが、業者が取立てにこないだけでどれだけ精神的に楽になるか、計り知れません。

 利息制限法に基づき、返済額を出し、返済計画案を作ります。貸し主(業者)がこれに合意すれば、交渉成立。返済計画案にもとづき、返済をしていくことになります。

 一括で返済できれば一括で。一括が難しい場合は、返済能力に応じて、3年で完済できる計画をつくるのが基本とされています。ちなみに、任意整理をした場合、5年~7年の間は、新たにクレジットカードを作ったり、借金をすることはまずできません。「できるよ」という業者がいたら間違いなく悪徳です。絶対に利用してはいけません。

 借金を整理した場合、家族に迷惑がかかるのでは?とご心配されるかたが多いのですが、大丈夫です。家族自身が任意整理など事故情報がなければ、ご家族がクレジットカードを作ることも、お金を借りることもできます。また、任意整理をした人は、家族がもっているカードの家族会員になれるチャンスはあります。

 その場合は、同じことの繰り返しにならないよう、借金を返し終わってから家族会員にしてもらったり、収入の1割~2割を上限に、カード利用をするなど、工夫をすることが大切です。

 いづれにしても、借金整理に関しては、専門家の力を借りることが、解決の糸口になります。
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特定調停(弁護士等に依頼せず、裁判所に申立てる)

 2000年から施行された比較的新しい制度です。任意調停が、裁判所を通さず、弁護士に交渉を依頼する方法だったのに対し、特定調停は、弁護士に依頼せず、自分で簡易裁判所に「特定調停」の申し立てを行い、裁判所が選ぶ調停委員2名が間に入って話し合いを進める、借金の整理方法です。

 嬉しい点は、任意整理で弁護士に依頼するほどのコストはかからない点です。(収入印紙、郵送代などが数千円程度。その他証明書の発行費程度。)

 任意整理に比べ面倒な点は、自分で申し立ての手続きをする必要がある点です。

 ・特定調停申立書
 ・借入/収支に関する書類

 など必要書類を簡易裁判所に提出しますが、借入先が複数の場合は、借入先ごとに作成して提出します。借入先が多いほど、手間はかかります。

 申立て後は、裁判所に最低2~3回出向きます。その際、調停委員の人に事情説明をし、利息制限法にもとに計算しなおした金額で今後の返済計画を検討します。

 3~4年で完済する計画を立てるのが基本です。貸主への交渉は、調停委員の人が行ってくれるので、自分で直接交渉することはありません。

 貸主が返済計画に合意した場合、調停成立となり、調停調書に基づいて、返済を開始します。

 ただし、必ずしも調停合意に至らない場合もあれば、借入期間が短いため、金額が減らない場合もあります。

 一番注意すべき点は、任意整理と違い、「調停調書」が確定判決と同じ効力を持つことです。そのため、調停成立後に、返済が遅れたり、滞ったりすると、給料の差し押さえなど強制執行を受ける場合があります。ですから、「金利が減れば確実に返せる」くらいの返済能力がある人が利用することをオススメします。

 具体的には、27%や29%といった高金利のローンを長期間にわたり借りている人が、金利が20%~15%なら確実に返せるのに、というようなケースは、この制度を利用することをオススメします。(詳しい手続き方法は、簡易裁判所に直接おたずね下さい。)


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自己破産は人生の終わりではない

 自己破産は、借金整理がどうしてもできなくなった場合の最終手段です。目安は、任意整理ができないレベルなのですが、「自己破産」とは一体なんでしょうか?

 「破産=人生の終わり」というイメージをもっていませんか?「自己破産」の実態を知らないため、実態以上に恐れを抱いていることが多いと思います。

 実態を知らないがために、自己破産して人生を台無しにしてしまうくらいなら、と死を選ぶ事件は実に多いものです。

 若干、生活上で制限がかかるものはありますが、「自己破産」という言葉のイメージ、そして、自己破産をしてしまった自分自身への嫌悪感、無能感を除けば、借金をゼロにして、生活を再スタートすることができるメリットが大きいのが、「自己破産」制度です。

 借金をなしにしてしまうわけですから、なぜそうなったか、どうすれば同じ事を繰り返さずにすむか、を真剣に反省し、真剣に改めることは絶対です。

 しかし、自己破産をした後も、人生は続きます。若干の制限があるものの、見事によみがえった人が多くいるも事実です。ですから、よく言われる「自己破産」のイメージが本当のところどうなのかを知る必要があります。

 実態を知れば、「なんだ、そうなのか!」と思われるに違いありません。
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自己破産のウソ本当

 自己破産は、破産法という法律にもとづいて、自ら地方裁判所に行って申立てを行うことから、「自己破産」と呼ばれます。(手続きについては地方裁判所で確認してください。)

 「人生の終わり」のイメージが強い自己破産ですが、実際には、多重債務者が人生をやり直すチャンスを与えてくれるための制度です。

 一定期間(7年~10年)クレジットカードが作れない、ローンが組めない、などの制限はありますが、借金はなくなりますし、人生を再スタートすることができます。

 自己破産になるとどうなるか、については、不確かな情報が出回っています。それでは実際のところはどうなのでしょうか。

 【家族に迷惑がかかる?

 →家族自身が借金整理、破産していないのであれば、家族の信用が落ちることはありません。ご家族はクレジットカードも作れるし、ローンも組むことができます。(条件によってはできないことがありますが、自己破産が原因ではありません)

 【仕事をやめなければいけない?

 →破産したことを会社に報告する必要はありませんので、今までどおり仕事は続けることができます。(弁護士等一部の職業においては、就業の制限がかかります。また、株式会社の取締役などは辞退する必要があります。)

 【財産を差し押さえられる?

 →車や家などの財産がある場合は、破産管財人によって換金され、貸主に支払われます。ただし、全てのものが処分されるのではなく、生活に必要な持ち物だと判断されたものについては、 処分の対象にならず、手元に残してもらえます。

 【選挙権がなくなる?

 →そんなことありません。選挙にでる権利も無くなりません。

 【戸籍に破産履歴が載ってしまう?

 → 載りません。住民表にも載りません。

 【クレジットカードがつくれない?

 → つくれません。7~10年たてば、作れるようになります。

 【お金を借りることができない?

 → できません。7~10年たてば、できるようになります。

 いかがでしょうか?自己破産をすれば、一部制限があるものの、イメージほど怖いものでも、厳しいものでもないでしょう。

 自己破産を推奨はしませんが、自己破産によって、借金返済の義務がなくなり、借金もなくなるため、ゼロから再スタートを切ることができるのです。借金を返せないことはよくないことですが、借金で人生を棒に振ることはありません。

 借金整理をする方法をきちんと理解して、手遅れになる前に、適切な対処をしましょう。
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