ドクウツギ:メディカルハーブ・アロマ事典

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ドクウツギ

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 ドクウツギ(毒空木)はドクウツギ科ドクウツギ属の落葉低木。

 北海道・本州(近畿以北)の山地、または海岸の荒地などに自生する。高さ1mから2m程度。花期は4から5月。実は約1cm程度であり、初めは赤く、熟すと黒紫色になる。コリアミルチン、ツチンなどの有毒成分を含む有毒植物。人が食べると痙攣・呼吸困難に陥り、場合によっては死に至る。果実には甘みがあるといい、昔は農村で子供が食べ死亡する事故が多かった(イチロベゴロシ=一郎兵衛殺しなどの方言名もある)ため、ドクウツギ狩りが行われた。

 ドクウツギの仲間は、日本では中北部の一属一種のみだが、近似種が十種ばかりあって、国外ではアジアでは台湾、中国内陸部からヒマラヤに、オセアニアではニューギニアとニュージーランドに、それに南アメリカの南部と北部の太平洋側、そしてヨーロッパの西部に分布がある。

 このように、極めて飛び離れた隔離分布をしており、これと西シベリアの化石種を併せて、前川はこれが白亜紀頃の赤道に沿った分布であると考えた。白亜紀の赤道に沿って分布していた種が、その後の気候の変化の中で、寒くなりすぎた地域で絶滅したため、このような、世界中を点々とするような分布が生じたのだというわけである。

 別名ネズコロシあるいはイチベコロシといわれるように猛毒だが、実が美しく,甘みもあるのでヒトが食用と間違える事故が頻繁に起こっている。葉24グラムが人の致死量といわれている。

 【毒草についての注意】
 有毒成分を含む植物には下痢程度でおさまるものから、致命的なものまで幅がある。

 含有されるアルカロイド類が関与する場合が多い。特に毒草が多い科は、ナス科(ハシリドコロ、朝鮮朝顔、芽の生えたジャガイモなど)、キンポウゲ科(トリカブト、ウマノアシガタなど)、トウダイグサ科(ノウルシ、コニシキソウ、キャッサバなど)、ヒガンバナ科(スイセンなど)ケシ科(ケシ、タケニグサなど)、キョウチクトウ科(キョウチクトウ、日々草など)であり、これらの科の植物には特に注意を要する。

 また、他の科の植物でも、ニガヨモギ(キク科)、スズラン(ユリ科)、ドクゼリ(セリ科)、オシロイバナ(オシロイバナ科)など、身近な植物にもちらほら散見するので、安易に食べないのが賢明である。

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